クラブ真理

3331 GALLERY 片山真理 個展「shadow puppet」の関連イベント「クラブ真理」に行ってきた。

Liveとトークのイベント。

Liveは2部構成。
前半はみどりかわさんという小柄な兄妹のような可愛らしいユニット。
後半はマリちゃん。

彼女の歌を聴いていて思ったけど、芸術家として成長すると同時に歌がうまくなったなあ、と。
歌唱の技術というのは訓練と人生経験がダイレクトに反映される。
特にシャンソン、ブルース、ジャズなどは人生経験を積むほどに良くなる(上手くなるというのとは別の意味)から。
自信や落ち着きが感じられたので、まさに人間としての成長あってのことだと思う。
トークは、マリちゃん、横浜国大 室井教授、横浜市民ギャラリー 天野主席学芸員の鼎談形式。
天野さんがモデレーターを務め、室井先生が解説や批評を交えてトークを進めていく流れだが、天野さんがザックリゆるく話を振りみんなで答える図式で愉快だった。

室井先生は哲学者で「片山真理の世界」を解説する役割があったことと、こういう場(いわゆるトークイベント)なのでマリちゃんの身体や特徴にフォーカスした文脈でのお話が多かったけど、実際のところそれがすべてではないと思う。
それが作品の世界観を構成する大きな要素ではあるものの、もう少しシンプルな理由があるような気がする。

彼女は「作品を売りたいとは思わない。手元に遺したい」という考えの人で、それは作品が身体と繋がる一部、断片という性格が強い、ものであるから手放したくないのではないかという哲学的な解釈があって、同時に本人は「絵日記みたいな」という発言があったことを考えると、通常は記憶として遺したり、埋没させたりするものを作品として具体化して遺しているんじゃないかと感じるフシがある。

少し作品性という点とは話が逸れるし勝手な解釈でしかないが、彼女は生存可能な期間(人生というより具体的に生命活動が許される時間軸上の尺度)が有限だと強く認識している人だと感じる。
実際・事実がどうであるかは別として、そのタイムリミットを短く捉えていて、それが創作活動や意欲の原動力になっている感じがする。

作品に対して現時点を重視(永い時間とか大きな世界観ではなく、いまの感情、状況、考え方という切り取りそれを重視している。現在の瞬間的な断片)しているように思えるので、であるならばたしかに絵日記だしそれが自分の手を離れるということは自分の時間的刻まれている経験を喪失することになるから嫌だろうな。
いずれにしても本人ではないのでそうなのかどうか確認のしようもないが。

まあ、そういうわたくしの推測の話は置いておいて、今回のゲストが天野さんと室井先生であったことは面白いと思った。
特に美術や藝術ではなく哲学を領域にしている室井先生であることが面白くて、変な美術史的とか藝術論ではなく、個人の思想や生命観に基づく文脈で語られた点だ。
アートイベントは作品性にばかりフォーカスしやすいが、そうではない属人的な部分を紐解いていく感覚が面白かった。

一方で天野さんは、才能部分に興味を持っているようで彼女に対しての理由付けはあまり重視していないのではないかという雰囲気がして、そこも面白かった。
学芸員という立場からすれば当然に思想面の考察もしているわけだが、それをなぞった上で興味の対象からは外している感じがした。
わざと俗っぽい表現をしていたのも演出なのだと思うが、室井先生とのバランスを取っていたように思う。

いずれにしても面白いイベントだった。
そして、友人の成長を見ることができるのは幸せなことだと思う。

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